初の全国優勝は目前だった。
今夏、あべの翔学(大阪市阿倍野区)は全国高校軟式野球選手権(朝日新聞社など後援)に大阪代表として出場。勝ち進んだ決勝でも、九回2死まで2―1とリードしていた。
そこからの逆転サヨナラ負け――。
相手は「絶対王者」 大きく跳ねた打球
兵庫県の明石トーカロ球場で8月29日にあった全国大会決勝。相手は史上初の4連覇を狙う東海代表の中京(岐阜)だった。
「絶対王者」と言われる強敵に、あべの翔学は八回に1点を勝ち越し、九回の守りも2死走者なし。
多くの人が、あべの翔学の勝利を疑わなかった。
しかし、あと1死が遠かった。安打、四球、安打を連ねられ同点に。その後、2死満塁から適時内野安打を許してしまう。2―3でサヨナラ負けした。
遊撃手で出場していた増野葵主将(2年)は、ショックで試合後の取材をしばらく受けられなかった。
最後の場面、中京の5番曽我鳳晟選手(3年)の打球が大きく跳ねて自らの前に飛んだ。捕球し、一塁へ投げたが、間に合わなかった。
落ち込む増野主将を救ったのが、平松泰岳部長(32)の言葉だった。
「最後、3年でなく2年の増…