認定NPO法人ブリッジフォースマイルの理事長の林恵子さん。児童養護施設や里親家庭を離れたケアリーバーの女子学生らが、一般の社会人女性と生活を共にしながら、一人暮らしを始める準備ができるよう、女性用シェアハウスも手がける=神奈川県

 「がんばるべきなのは、子どもたちではなく、大人たちです」

 ビジネス研修で、企業の社会貢献策をつくろうと訪ねた児童養護施設で、子どもたちの過酷な現実を聞いた。「知った責任がある」と退職し、2004年12月に認定NPO法人ブリッジフォースマイル(本部・東京都港区)を立ち上げた。

 虐待や死別、貧困などで親を頼ることができない子どもたちの前に存在する、将来に夢や希望を持てない「希望の格差」、孤独を感じ失敗しても実家に帰ってやり直せない「安心の格差」の解消を掲げ、行政からの委託のほか、企業の寄付やクラウドファンディングなどで資金を得て、就労体験や居場所、信頼できる大人と相談できる関係づくりなどの事業を展開してきた。

 「大きな壁」である住まいの確保の一助として、独自に神奈川県内で女性用のシェアハウス2棟も営む。家具付きで家賃を抑えたシェアハウスでは、児童養護施設や里親家庭などで育った女子学生らが社会人女性と生活を共にして、一人暮らしに向けて家事や金銭管理を身につけていく。

 半年前から一時的に、そのシ…

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