「役職定年」後の離婚が増えているという

 大手メーカーに勤めていた55歳の夫に、50歳の妻が離婚を切り出した。数年前のことだ。きっかけは「役職定年」だった。

 55歳や60歳など、ある年齢に達すると管理職の肩書が一律に外され、給料も下がる「役職定年制度」は今も多くの企業が採用する。

 妻から相談を受けた堀井亜生弁護士によると、この夫も役職定年の対象となり、年収はほぼ半減。社内の一線から退いたことでモチベーションが下がり、情緒不安定になったという。

 老後資金を計算し、「貯金がぜんぜん足りない」と妻に激怒。これまでの家計管理を妻から細かく聞き出し、「何をやっていたんだ」「俺はこれまですごく稼いだのに」などと暴言を吐いたり、暴力をふるったりするようになった。

 妻は夫から渡される生活費をやりくりしてつつましく暮らしていたが、子どもたちの学費や住宅ローン返済、夫の両親の病気などもあり、貯蓄は思ったほどできなかったという。

 夫は高収入ではあったものの、頻繁に仕事の付き合いと言って飲み会やゴルフにでかけ、浪費が多かった。

 子どもたちが独立することになり、2人だけの生活は耐えられないと、妻は家を出た。

離婚件数に占める「熟年離婚」の割合が増え続けています。妻の浪費に耐えかねて夫から離婚を切り出すケースも。専門家と一緒にその背景を探ります。

 妻から依頼を受けた堀井弁護…

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