相模女子大教授の宮田穣さん

 手紙やはがきなどの郵便料金が10月に値上げされました。ネットの普及で利用者が減ってきた手紙やはがきは、消えていってしまうのでしょうか。手紙の文化に詳しい相模女子大の宮田穣教授は「手紙には、ほかのメディアと違う特徴があり、これからも残っていく」と言います。どこが違うのでしょうか。話を聞きました。

SNSが支配するコミュニケーション

 ――手紙やはがきを出す人が減っています。

 「大きな要因にネット社会の進展があります。特にSNSが急激に広がって以降、コミュニケーションのある一定の部分はそこに支配されてしまったという印象があります」

 「人々の生活感覚が変わってきました。毎日、スマホで断片的な言葉を色々やりとりすることが普通になってきています。SNSは、リアルタイムで、お金をかけずにできるコミュニケーションでもあります。それが日常になれば、手紙を出すという方向には向きませんよね」

 ――若い世代のSNS利用は特に多いですね。

 「若い世代はLINEやインスタグラム、動画投稿アプリTikTok(ティックトック)、X(旧ツイッター)など色々なSNSを使っています。リアルタイムでやりとりできるという点だけでなく、そうしたSNSを使い合う『仲間』としての一体感を確認しているという部分もあるのではないでしょうか」

 ――ネット社会となったいま、手紙やはがきは残っていくのでしょうか。

 「昔に比べ、手紙の情報伝達メディアとしての位置づけは変わりましたが、日頃使っているSNSとは別の次元にあります。残っていくのではないかと思っています」

顔も名前も知らなくても・・・

 ――別の次元ですか。

 「手紙は、ゆっくり考え、ま…

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