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いきものがかりの水野良樹さん=東京都中央区、井手さゆり撮影

 なぜ、人は桜に思いを重ねるのか。春を前に、2006年に「SAKURA」でデビューし、桜にまつわる楽曲を多数発表している、いきものがかりの水野良樹さんに話を聞きました。「桜のような歌を書きたい」と語る、水野さんの真意とは。

心に残る「桜」お寄せください

 写真企画「桜ものがたり2025」のエピソードを募集します。桜を見ることで勇気づけられた経験、大切な人との記憶など、桜にまつわる思い出をお寄せください。
 頂いたお話を元に記者が取材し、紙面と朝日新聞デジタルで紹介します。応募は2月28日まで。住所、氏名、電話番号を明記の上、([email protected])へ桜のエピソードと場所をお送り下さい。

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 デビュー当時は、森山直太朗さん、ケツメイシさん、コブクロさんなど、桜のヒットソングが続いていました。それでも自分たちはJポップの王道から逃げない、と肩ひじ張って「SAKURA」を書きました。

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昨年11月にリリースされた「会いたい」のミュージックビデオの一場面=©Sony Music Labels Inc.

 結成25周年を記念して発表した新曲「会いたい」も「桜が咲いたね 春が来たよと」と歌い出します。

その人の好きな距離感で

 自分でもまた桜か、と思いながら書きましたが、理由は変化しています。今、桜というテーマを選ぶのは、人の生き死ににつながりやすいからでしょうか。

 20代の頃は「自分が死んだら世の中終わり」と思っていました。ただ、30代、40代に入り息子が生まれると、「自分が死んだ後も息子は生きていく」と考えるようになりました。振り返ったら、自分も誰かの死後を生きている。視野が広がり、書く歌が変わってきます。

 例えば、誰か大切な人を亡くしてしまった方を私は直接慰めることはできない。でも、色んなイメージを重ねられる桜の歌を間に置くことによって、その人の好きな距離感で自分の悲しみを癒やすことができます。

 日本人が桜にひかれるのは、時間的な存在だということが大きい。あんなに華やかに咲くのに、1、2週間でうそのように散っていく。はかなさを描くには十分すぎるぐらいです。

「桜、咲いちゃってるな」

 一方で、1年ごとに必ず季節…

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