【動画】日本向けの出荷が盛ん、中国産のウナギ養殖・加工現場=小早川遥平撮影
19日は土用の丑(うし)の日。最近はスーパーで「中国産」と書かれた大ぶりなかば焼きをよく見かけるが、日本料理店の水槽でも、中国産のウナギが多く泳いでいる。資源量の減少で国際的な取引制限も議論される今、中国のウナギの養殖・加工の現場をのぞいてみた。
中国南部・広東省順徳はウナギの名産地として知られる。同省ウナギ業協会の翁武振会長の加工場を訪ねると、十数人の従業員が包丁でウナギをさばいていた。
きりで頭をまな板に固定し、包丁を頭から尾に3回滑らせる。1匹あたりわずか5秒で身を開き、中骨と内臓を取り除く、まさに職人技だ。一方、ふっくら焼き上げるための切れ目を入れたら、あとは機械のレーンに載せるだけ。焼いてタレを絡ませるのも、冷凍させるのもすべて流れ作業だ。
水産庁によると、2024年の日本のウナギ供給量約6万トンのうち、73.4%が輸入品。東京税関の23年の輸入動向では、ウナギ加工品の99.6%は中国からだった。
同じ「中国産」でも
翁さんが加工場で焼いたウナギを食べさせてくれた。身が大きくて弾力がある、スーパーでお得に買えるあのかば焼きの味だ。でも、このウナギ、実は隣の福建省を中心に養殖されるアメリカウナギという種だそう。
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「こちらも食べてみて」と出された翁さんの養殖場で育ったウナギと比べると、その差は歴然。小ぶりだが、皮が薄くてうまみを感じやすい。国産と同じニホンウナギだ。「育て方も味も別物」と翁さんは話す。
日本の小売店の多くは産地しか表示しないが、中央大の研究者が昨年、中国産として販売される商品のDNAを分析したところ、半数超がアメリカウナギだったという。
中国産ニホンウナギはどこに
翁さんらが加工品にアメリカ…