政治とカネをめぐる問題や疑惑の責任をとるとして、28日に議員辞職願を提出した堀井学衆院議員(比例北海道ブロック、自民党を離党)。突然の表明を関係者は複雑な思いで受け止めた。
28日午前、堀井氏は東京の事務所を通じて「政治資金収支報告書への不記載問題に加え、選挙区内で代理人が私名義の香典を配った疑惑が発覚した。私の順法精神の欠如が原因で、次期衆院選への不出馬宣言だけでは不十分との結論に達した」とのコメントを発表、議員辞職を表明した。自身の12年間の国政活動への支援への感謝と、任期途中での辞職をわびた。
堀井氏は、所属していた自民党安倍派から政治資金パーティーで得た収入の還流を受けていた。金額は5年間で2196万円にのぼり、いずれも政治資金収支報告書に記載していなかった。
秘書などを通じて有権者に香典を届けていた疑いも浮上。原資の一部には還流を受けたパーティー収入が充てられた疑いもあり、東京地検特捜部が公職選挙法や政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で捜査している。
堀井氏に次期衆院選の戦い方や政治姿勢などを巡って意見書を突きつけた自民党苫小牧支部長の板谷良久道議は「最終盤を迎えた新支部長選考に関心が移っており、思考の外だ。堀井氏が議員を続けること自体がマイナスで辞職はかえってよかった」。
9区内の支部長の一人は、「大勢が立候補する総裁選、新支部長選びで明るい兆しが見え始めたのに、また堀井氏が悪いイメージを植え付け、自分勝手な都合で我々の足を引っ張るのか」と憤った。
苫小牧市の岩倉博文市長は28日の記者会見で、「彼がけじめを付けるなら、選択肢はああいう方向しかなかったんじゃないか」と話した。
堀井氏は6月、次期衆院選には立候補しない考えを表明。7月には自民党を離党している。辞職にともない、衆院比例北海道ブロックでは、2021年の選挙で自民党の名簿に記載された候補者が、小選挙区での惜敗率順で自動的に繰り上がる。ただ、法律では両院の議員や地方議員との兼業が禁止されているため、該当する場合は、当選の告知後5日以内に辞職する必要がある。
惜敗率1位の船橋利実氏は参院議員。堀井氏の辞職願提出後に発信した自身のSNSで、「今後とも参院議員の立場で活動をつづけていく」とコメントしている。
2位の前田一男氏も道議会議員のため、続投の意思を示せば、3位の党2区支部長の高橋祐介氏に当選の権利が移ることになる。(松本英仁、長谷川潤)