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外国人の男性が移民裁判所の法廷を出た瞬間、移民税関捜査局(ICE)所属とみられる係官に取り囲まれていた=2025年7月8日午前9時55分、米ニューヨーク、田中恭太撮影(画像の一部を加工しています)

 米国各地の裁判所に滞在許可をめぐる審理のため出廷した外国人が、移民当局に突然拘束される事態が相次いでいる。「不法移民の大量強制送還」を強行したいトランプ政権によって、「裁判所が『わな』になっている」との批判が噴出。記者はその一部始終を目撃した。

法廷前、無言で陣取る5人組

 ニューヨーク中心部にある連邦政府の高層ビル。7月15日午前、この22階に入る「移民裁判所」の13号法廷には、外国人約40人が審理に出廷していた。

 午前9時前。法廷の外の待合スペースの空気が一変した。

 屈強な5人の男女が現れた。黒や赤、深緑などのキャップに覆面姿。防弾チョッキのようなベストを着て、腰には手錠や拳銃を携えていた。

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移民裁判所の法廷前に現れた男女はキャップやフェースマスクで顔を隠し、顔写真が印刷された紙の束を手にしていた。移民の支援団体の関係者らは、移民税関捜査局(ICE)所属の係官だと指摘している=2025年7月8日午前9時52分、米ニューヨーク、田中恭太撮影

 移民を取り締まる移民税関捜査局(ICE)の係官とみられる。5人はほぼ無言で、法廷の扉の前に陣取った。1人は丸めた紙の束を手にしており、一枚一枚に顔写真が印刷されているようだった。

 約30分後。5人は動いた。

 扉から中年女性がこの日の審…

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