第97回アカデミー賞の授賞式が2日夕(日本時間3日午前)、米ロサンゼルスで開かれ、「ANORA アノーラ」が作品賞や主演女優賞など今回最多となる5つの賞を受賞した。長編ドキュメンタリー賞にノミネートされていたジャーナリスト伊藤詩織さんの初監督映画「Black Box Diaries」など、日本関連の3作品は受賞を逃した。
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アノーラは、ニューヨークで働くストリップダンサーとロシア財閥の御曹司との突然の結婚を描いた作品。
長編ドキュメンタリー賞は、イスラエルによる迫害を受けるヨルダン川西岸に住むパレスチナ人の苦悩を描いた「ノー・アザー・ランド 故郷は他にない」が受賞した。
日本関連では、短編ドキュメンタリー賞で山崎エマ監督の「Instruments of a Beating Heart」、短編アニメ賞で西尾大介監督のCGアニメ「あめだま」がノミネートされていたが、いずれも受賞を逃した。
伊藤さんの作品は、2015年に元TBS記者から性的被害を受けた後の自身の体験を記録した作品。スマホなどで撮影した約400時間の映像をもとに7年越しで仕上げた。
作品をめぐっては、伊藤さんを支援した弁護士らが会話を無断で録音してその音声を映画で使ったなどとして、取材過程における倫理上の問題を指摘。伊藤さんは声明で、映像や音声を使うことへの「承諾が抜け落ちてしまった方々に、心よりおわびします」と謝罪した。