奈良県明日香村国民健康保険診療所の武田以知郎医師(64)が、日本医師会などが地域医療に貢献した医師を表彰する「赤ひげ大賞」に選ばれた。山間部の村も含めて、一貫して奈良の地域医療に携わっていることなどが評価された。
御所市出身の武田さんは自治医科大を卒業。天川村や山添村の診療所などで患者と向き合ってきた。当時の県立五條病院では、へき地医療支援部長も務めた。
2010年に明日香村の診療所に着任してからは、村民のかかりつけ医として力を尽くした。保健予防や介護福祉など村の事業とも連携。在宅医療にも取り組んできた。「イチロー先生」と呼ばれるなど、住民たちから親しまれている。
「赤ひげ大賞」は、山本周五郎の時代小説の主人公をもとにしている。モデルは江戸時代にあった「小石川養生所」で庶民を診療した医師だ。「病を診るだけではなく、人を診て、地域も診る。これこそが『赤ひげ』の証し。若い人たちにも地域医療に関心をもってもらえるよう頑張りたい」。武田さんは、こう受賞を喜んだ。
武田さんの奮闘は、ドキュメンタリー映画「明日香に生きる」(溝渕雅幸監督)にもなり、評判を呼んだ。イオンシネマ高の原(京都府木津川市)で上映中(スケジュールはホームページなどで確認)。7日は午前11時半から上映予定で、溝渕監督と武田さんらのトークも予定されている。(清水謙司)