「聴こえますか、アラブやパキスタン、イラン等にいるインプレゾンビのみなさん、、、」
5月13日午前9時56分。「まさやさん」を名乗る日本語教師の男性は、関西地方にある自宅から、X(旧ツイッター)で呼びかけを始めた。迷惑な投稿を繰り返す「インプレゾンビ」に向けた投稿だ。
2023年夏、Xオーナーの米起業家イーロン・マスク氏が、投稿が見られた数や影響力などを示す「インプレッション数」に応じて収入が得られる収益配分プログラムを始め、報酬目当ての投稿者が増え始めた。話題になっている投稿に意味のない返信をするだけでなく、災害時に過去の動画を流すなど偽情報を拡散する悪質な投稿もある。まさやさん自身も5月、インプレゾンビと勘違いされた。
改心を促すために考えたのが、片言でもいいから日本語で地元の料理や音楽を投稿してもらうこと。こう呼びかけた。
「自分の日本語学習進捗(しんちょく)をXにアップロードしインプレを稼ぐのです」
ナイジェリアの「ケンちゃん」はなぜゾンビに?
数時間後、日本から約1万3千キロ離れたナイジェリアのラゴス。スニーカー仲買人チブイケ・ケント・オグボナさん(30)が投稿を目にした。
「インプレが稼げるなら、試してみるか」。早速、目の前の通りの写真と共に、「ナイジェリアのラゴスの街並み」と機械翻訳した日本語を添えて投稿した。
突然、通知が鳴りやまなくなった。
「ワオ!」
見たことのない勢いでインプ…