リラン・ベンアミさん(左)と北原葉子さん=2024年12月2日、神奈川県鎌倉市、加藤あず佐撮影

 パレスチナ自治区ガザへの攻撃を続けるイスラエルの姿勢に疑問を持ち、イスラエルを離れて日本で暮らし始めた家族がいる。「パレスチナ人を非人間的に扱い、攻撃を続ける国に絶望感を覚えた」というイスラエル人の父親は、自身の経験を語ることで平和を訴える方法を模索している。

 一家は、イスラエル人建築家のリラン・ベンアミさん(45)と日本人クリエーターの北原葉子さん(49)夫妻と長男(11)。夫妻は2006年からイスラエルの商都テルアビブに住み、仕事と生活の拠点を築いた。

 昨年10月7日、ガザのイスラム組織ハマスが越境攻撃を仕掛けた。以来、テルアビブでは空襲警報がひっきりなしに鳴り響き、無数のイスラエル軍の戦闘機が空を飛んだ。ハマスによって約1200人が殺害されたことへの報復として、イスラエルは大規模な軍事作戦を開始。ハマスへの憤りを口にするリランさんの傍らで、葉子さんは戦闘機が向かう先に思いを募らせていた。

 戦闘が始まって1週間でガザの死者は2千人を超えた。葉子さんはニュースを示しながら、リランさんに問うた。「見て。ここから60キロの場所で、私たちと同じ人間、息子のような子どもたちまでもが、こんなにも殺されている。あなたはパレスチナ人の苦しみを、見ようとしている?」

思い返した教育と兵役の記憶 

 それから毎日、リランさんは…

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