2026年春夏シーズンのパリ・メンズファッションウィーク(パリ・メンズコレクション)は折り返しとなる27日、日本のコムデギャルソン・オムプリュスやメゾンミハラヤスヒロが新作を発表した。

コムデギャルソン・オムプリュス

 コムデギャルソン・オムプリュスのテーマは「Not Suits, But Suits」。「スーツではないが、スーツである」という、矛盾した言葉には、テーラードスーツがブランドの根幹であることには変わりないものの、多彩なシルエットやテキスタイルでスーツの概念を拡張しようとする試みが見て取れた。

コムデギャルソン・オムプリュス

 冒頭から、カラフルなグラフィックデザインのスーツに目を奪われた。パンツは細身だが、中央にはファスナーが付いている。着る人が開け閉めすることで、異なるシルエットに変化するようだ。加えて、モデルは極端に長く太い三つ編みで、つばの広い帽子をかぶっている。

コムデギャルソン・オムプリュス

 この帽子は、前季に続き、「ヒヅメ」の日爪ノブキが手がけた。

 その後も、腰回りにボリュームをもたせたフォルムや、大きなラペルを配したジャケット、ジレを重ねたスタイルなど、バリエーション豊かなスーツが登場した。

 今季、川久保玲が込めたのは「私たちを平和や愛、友愛へと導くためには、シャーマンのような力強い存在が本当に必要」との思いだという。

 シャーマンとは、神や精霊の声を伝える霊媒師。そうした存在にすがってでも、各地で分断が起きている現世をなんとかひとつにしたい――。そんな希望が込められているようだ。モデルたちはシャーマンを表しているのだろう。既存の枠組みを崩し、ピンクやフリルといった、川久保にとっての「光」を取り込みながら拡張したスーツの数々。形は違えども彼らがまとえば、平和への「共通言語」になりえるのではないだろうか。

ジュンヤワタナベ

 この日の朝には、ジュンヤワタナベも同じ会場でショーを開いた。20年前に発表したインテリア向けの織物や柄を使ったテーラードスタイルを、現代風にセルフリメイク。「古いのに新しいと感じるもの、古いものを再現する過程で生まれた新しいものに興味を持った」というようにアンティーク調の花柄ジャケットにデニムを合わせるなど、懐かしさとモダンさが交錯するルックが際立っていた。

ジュンヤワタナベ

メゾンミハラヤスヒロ

 メゾンミハラヤスヒロは「Ordinary People(普通の人々)」をテーマに掲げ、表層的な面と内面という人間の「二面性」に着目し、得意の脱構築スタイルで見せた。本来ファッションとは、個人それぞれが築き上げたスタイルを指すが、今や「表層的で軽薄な情報ゲーム」に化したと三原康裕。そうした現代へのアイロニーとして、普通であり続けることの尊さを示唆しているという。

メゾンミハラヤスヒロ

 ランウェーには、アイドルグループSnow Manのラウールさんが登場した。グレーのジャケットに、カジュアルな黒の上下を合わせたシンプルな装いはまさに「二面性」のある人間らしさを表していた。

メゾンミハラヤスヒロのショーでモデルとして歩いたSnowManのラウールさん
メゾンミハラヤスヒロのショーでモデルとして歩いたSnowManのラウールさん
メゾンミハラヤスヒロのショーでモデルとして歩いたSnowManのラウールさん
メゾンミハラヤスヒロのショーでモデルとして歩いたSnowManのラウールさん
メゾンミハラヤスヒロのショーでモデルとして歩いたSnowManのラウールさん
メゾンミハラヤスヒロのショーでモデルとして歩いたSnowManのラウールさん

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