米国は二つの世界に分かれてしまった――。米国の文化や社会を研究してきた矢口祐人さんはそう指摘します。トランプ氏を絶対的な存在と見なす保守派と、リベラル派の間に橋をかけることはできるのでしょうか。大統領選から見える米国の危機と、それを乗り越える希望について語ってもらいました。
交論 トランプ支持の底流
――トランプ氏が根強い支持を受け続けていることをどう見ていますか。
「トランプ氏のような政治家は、米国ではまったく新しい存在ではありません。トランプ支持の根底にあるのは反知性主義です。反エリートのレトリックを使って、地方の人々の心をつかむ政治家はこれまでも数多くいました。反移民の主張も19世紀からずっとあるもので、選挙のたびに持ち出されてきました」
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トランプは反エリートの「アイコン」
――しかし、トランプ氏の人気は際立っています。従来の反知性主義の政治家とどう違うのでしょう。
「テレビなどの既存メディア…