主要20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議が23日(日本時間24日)、米ワシントンで開幕した。初日の議題は景気後退が心配される世界経済で、「震源」はトランプ米政権の関税政策だ。各国・地域は、米国をつるし上げてもいいはずだったが――。
今回のG20財務相会議には、南アフリカで開かれた前回2月会議を欠席したベッセント米財務長官が初めて出席した。世界経済のセッションでは、「トランプ関税」に議論が集中したもようだ。
「広範な関税措置の発動は極めて遺憾だ」
議場で加藤勝信財務相はこう述べ、米閣僚を前に関税措置の早期の見直しを求めた。関税が為替や金融市場をも不安定にし、実体経済にも悪影響を及ぼしているとも指摘した。日本は「相互関税」の一律10%に加え、14%の上乗せ(一時停止中)も課された。重要な輸出品である自動車にも別枠で25%の関税をかけられている。
「単独行動主義と保護主義は行き詰まりであり、誰の利益にもならない」と批判したのは、中国人民銀行の潘功勝総裁。中国は異例の145%の追加関税をかけられているさなかだ。中国国営中央テレビが伝えた。
G20を構成する国・地域で、トランプ関税の直接的な悪影響を受けていないのは、取引関係がほぼ絶えているロシアくらいだ。だが、日本の財務省幹部によると、ベッセント氏に対して直接的に厳しく糾弾するようなやり取りはなかったという。
考えられる理由は二つある…