ベトナム戦争で米軍が散布した枯れ葉剤の影響とみられる結合双生児として生まれた、グエン・ドクさん(44)の人生を描いた長編ドキュメンタリー映画が、ベトナムで公開されている。戦争終結から今年で50年。ドクさんは「戦争をなくすためにできることを、若い世代の人らが考える機会になれば」と願う。
- 失った脚の痛みが消えても 30年過ぎてなお、地雷が奪い続けるもの
ドクさんはベトナム戦争終結後の1981年、兄のベトさんと下半身がつながった結合双生児として生まれた。米軍が戦時中に散布した、猛毒のダイオキシンを含む枯れ葉剤が影響したとみられている。88年に日本の支援で兄弟の体の分離手術に成功。ベトさんは2007年に亡くなった。
映画は「ドクちゃん―フジとサクラにつなぐ愛―」(川畑耕平監督)。ドクさんと長く交流があるプロデューサーのリントン貴絵ルースさんがドクさんに出演をオファーし、今も健康問題に苦しみながら暮らすドクさんと妻子の日常を描いた。日本では昨年、上映された。ベトナムでは2月末から3月9日まで、首都ハノイとホーチミンで上映中だ。
きっかけはウクライナ侵攻
副題のフジとサクラは、ドク…