記者会見するカレン・ホールバーグ事務総長(右)と小倉桂子さん=2025年6月27日午後3時12分、広島市役所、柳川迅撮影

 核兵器廃絶をめざし、世界各国の科学者が話し合う「パグウォッシュ会議」の世界大会が11月、20年ぶりに被爆地・広島で開かれる。同会議のカレン・ホールバーグ事務総長らが27日に広島市役所で記者会見を開き、プログラムの概要などを発表した。

 会議は哲学者ラッセルと物理学者アインシュタインらが核兵器と戦争の廃絶を訴えた1955年の「ラッセル・アインシュタイン宣言」を受け、57年に始まった。95年にはノーベル平和賞を受賞。日本では95年、2005年に広島市で、15年に長崎市で開かれた。今回で63回目となる。

 日程は11月1~5日で、広島市中区の国際会議場で開かれる。テーマは「被爆80年 平和、対話、核軍縮の時代」。50カ国以上の科学者、若手研究者、市民代表ら約130人を招く。

 核軍縮や核不拡散のほか、北東アジア、中東などの地域安全保障、人工知能(AI)といった先端技術と平和の関係など幅広い議論が行われる。

 「被爆者・市民との対話」などの公開セッションが予定され、一般市民の傍聴も可能。核兵器廃絶について議論する公開セッションでは被爆者団体の代表も参加予定だ。最終日には「広島宣言」を取りまとめ、提言として発表する。

 会見でホールバーグ事務総長は「世界は非常に危機的状況にあり、特に核兵器に関してリスクが高まっている」と述べた。そのうえで、「すべての国が一緒になって平和な世界を達成する方策を見つける必要がある」と語った。

 「被爆者・市民との対話」に参加する被爆者の小倉桂子さん(87)も会見に出席し、「現在の世界状況を唯一解決できる光は、やはりダイアローグ(対話)だと思う」と話した。

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