面会後、抱き合う斎藤さん(右)とフェアバンクスさん=岩手県花巻市、三浦英之撮影

 ヒバクシャの記憶を世界に伝えたい――。米シカゴ在住の絵本作家、クリントン・フェアバンクスさん(53)が7月9日、広島で被爆した斎藤政一さん(101)が暮らす岩手県花巻市の施設を訪れた。フェアバンクスさんは米国で昨年8月、斎藤さんの被爆体験を記録した絵本「世の終わりから90秒後」を出版。斎藤さんに感謝の気持ちを伝え、互いに「二度と悲劇を繰り返してはいけない」と確認し合った。

 米国人のフェアバンクスさんは1998~2001年、岩手県国際交流協会に国際交流員として勤務。その際、花巻市在住の斎藤さんの被爆体験の英訳を依頼され、その内容が米国の学校で学んだものとはあまりに異なることにショックを受けた。01年には県内で斎藤さんの講演を企画し、日本語と英語で原爆の惨状を紹介。帰国後も交流は続き、昨年、英語と日本語の両方で読める絵本を出版した。

 フェアバンクスさんは気温30度を超える猛暑の中、妻や子ども2人を連れて施設を訪問。面会は斎藤さんが15年、日本原水爆被害者団体協議会の代表団として米ニューヨークを訪問して以来10年ぶりで、2人は抱き合いながら再会を喜んだ。斎藤さんは「立派な本を出してくれて、ありがとう」と涙をにじませた。

 絵本などによると、斎藤さん…

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