「選挙の過熱を避けるため」と現職が早期辞職し、半年ほど早まった奄美群島・徳之島(鹿児島県)の伊仙町長選は、11日投開票され、前町長が事実上後継指名した候補が勝利した。古くから「政争の町」で知られる伊仙町の開票所には、支持者同士の衝突を警戒して今回も機動隊が出動。大きなトラブルはなかったが、接戦の行方を見届けようと数百人の町民が集まり、熱気に包まれた。
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「ワイド、ワイド!」。午後9時すぎ、町役場の前。新顔同士の一騎打ちを前町教育長の伊田正則氏(66)が制したことが伝えられると、「やった」「いいぞ」を意味する歓声が湧き起こった。激しい雨のなか紙吹雪が舞い、支援者が指笛や太鼓を響かせながら伊田氏を肩車で担いで練り歩いた。かつて町長選の開票所で「投石事件」があったことなどから、開票所となった役場周辺には鹿児島県警のパトカーが配置され、機動隊員らの姿もあった。
町長選は、6期目の任期満了が10月だった大久保明・前町長(70)が辞職したことに伴うもの。大久保氏は辞職を早めた理由について「過熱した選挙が繰り広げられる可能性がある。それを防ぐために、早急な選挙を行うことが最良」と説明した。関係者によると、水面下で選挙戦の激化を示すような情報がすでに出回っており、伊田氏の対立候補となった陣営からは「準備が間に合わない」と焦る声も聞かれた。
過去に自民党と徳洲会の「保徳戦争」で二分
短期決戦となった町長選は…