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練習する札幌白石高校=2025年6月22日、札幌市白石区、オザワ部長撮影
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My吹部seasons

 北海道札幌白石(しろいし)高校の吹奏楽部(札幌市)には、歴然と輝く歴史がある。全日本吹奏楽コンクールに20回出場し、金賞11回。1990年からは全国大会で5年連続金賞(いわゆる「五金」)を達成し、95年に当時の会場だった普門館(東京)で特別演奏もおこなった。

 その五金のうち、2年目と3年目にトランペットのファースト(第1パート)トップ奏者として演奏に参加していたのが現在の顧問、鈴木恭輔教諭だ。

 「僕自身が目にした全国大会の景色を生徒たちにも見せてあげたいという気持ちはあります。でも、いちばん大事なことは全国大会出場ではない」と言い切る。「楽譜と向き合い、うまく演奏できない自分と向き合い、奏者としても人間としても成長していくこと。また、演奏だけでなく、勉強や日ごろの生活態度もしっかりすること。その先に、全国大会金賞があったらいいね、と生徒たちには話しています」

 そう語る鈴木だが、今年度は部員数が創部以来最多の103人になり、手応えも感じている。

 「バンドとしての力も上がってきており、今年こそ全国大会に近いレベルになってきているのではないかと期待しています」

 コンクールに挑むにあたり、課題曲は杉山義隆作曲《祝い唄と踊り唄による幻想曲》、自由曲はドゥルルイエル作曲《フラターニティー》に決めた。

 《フラターニティー》は、昨年度の全国大会で精華女子高校(福岡市)が演奏した難曲だが、鈴木は今年度の部員ならきっとこの曲を見事に演奏できるレベルまで成長してくれるだろうと考えて選んだ。

 音楽室には、赤地に白で「一心不乱」と書かれた旗が飾られている。85年に全国大会出場を逃したときの3年生が、卒業時に残していったものだ。この旗は部員たちに「『一心不乱』とはどういうことか」と問いかけるように、いつも壁際で静かに揺らめいている。

【連載】My吹部Seasons

吹奏楽作家のオザワ部長が各地の吹奏楽部を訪ねます。

     ♪…

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