双子や三つ子などを育てる「多胎育児」。国の統計によると、新生児の母親100人に1人が多胎出産という。多胎育児ならではの悩みを抱える家族は少なくない。
「ただいま!」。平日の夕方、広島県内に住む40代の女性の自宅に、元気な声が響いた。女性には6歳の三つ子の息子たちと3歳の長女がいる。学校から帰ってきたのは、小学1年の次男と三男。息つく暇もない時間が始まった。
次男の宿題を見ていると、横から「ママ、連絡帳がない」と三男の声。目を離した隙に、長女がテーブルの上のガラスのコップに手を伸ばす。「危ない」と声を上げ、慌てて駆け寄る。「寝る瞬間まで、ずっとこんな感じです」と女性は疲れた表情で話す。
記事の後半では、多胎育児中にうれしかった声かけや、嫌だった声かけの22例を掲載しています。
夫は仕事が忙しく、平日の帰宅は深夜になることも。近くで暮らす母親に、子どもを時々預かってもらうが、育児と家事のほとんどを1人でこなす「ワンオペ育児」の毎日だ。三つ子が乳幼児の頃は、双子用ベビーカーと抱っこで外出。3人が同時に泣くと、手が付けられなかった。
「虐待のニュース、あすの自分では」
悩みは、育児の大変さだけでない。三つ子の長男は、生まれつき脳性まひがある。夏に手術し、退院したばかり。記者が取材で自宅を訪れた日は入院中だった。
厚生労働省の調査によると…