ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇が4月21日、死去した。初の南米出身の教皇として、世界14億人の信者を束ね、死の直前までメッセージを発し続けた。フランシスコ教皇はどんな存在で、社会に何を残したのか。2人の識者に聞いた。

  • フランシスコ教皇が記者に語った「広島・長崎」と「第3次世界大戦」
  • 偉ぶらず、弱者に寄り添ったフランシスコ教皇 日本には特別な思いも

上野景文・元駐バチカン大使

 貧困と「南」に目を向け続けたフランシスコ教皇は、保守的だった前任のベネディクト16世の対極をいく人だった。

 カトリック教会は長年、欧州中心・イタリア中心主義だったが、フランシスコ教皇は異を唱えた。教会はもっと「南」を向くべき、貧しい人に目を向けるべきだとして、アフリカや中南米、アジアを重視した。欧州でキリスト教離れが進むなか、グローバルサウスの国々へ信仰の種をまいたことは、カトリック教会にとって大きな功績だった。

■南米での貧困が根底に…

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