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宮崎県

 宮崎市の私立鵬翔高校グラウンドで3日に起きた落雷事故をめぐり、事故当日に現場で天候の確認をしながら一時中断や再開の判断をしていたことが、同校への取材で分かった。宮崎県教委は、事故防止の徹底を求める通知を4日に県内の小中高校などに出した。

 落雷事故では熊本県立鹿本高校のサッカー部員ら18人が病院に搬送されるなどし、うち1人は5日現在も集中治療室で治療が続いている。

 鵬翔高によると、事故当日は九州各地の16校が宮崎県内各地で練習試合に参加し、鵬翔高グラウンドには3校の選手と指導者ら計110人ほどがいた。午前11時ごろに落雷の音がしたため、試合を一時中断。雨と雷鳴がやんだ後の午後2時過ぎに再開した。その約30分後、鹿本高の選手らが試合に備えてウォーミングアップをしていたところに雷が落ちたとみられるという。

 鵬翔高の富山晃一教頭は、現場のコーチらの話として、「気象関係のアプリを見ながら雷や雨雲の情報を把握し、危険を感じればいつでも試合を中止する予定だった」と説明。この日、宮崎市に出ていた雷注意報は把握していなかったというが、「注意報以上の情報は得ていた」との認識を示した。

 同校では6、7日にも予定していた練習試合を中止し、部の活動も一時中断しているという。富山教頭は「妥当な試合運営をしたと考えているが、このような事故が起こり、今後、マニュアルの見直しが必要と考えている。このような事故が二度と起こらない対策を考えなければならない」と話した。

また、宮崎県教委は1日付で、公立小中高校などに「児童生徒の体育活動等における事故防止」について通知。落雷に関しては「発生しやすい気象条件下では、その場に応じた的確な判断のもとに、活動を中止・中断し、安全な場所へ避難したりするなどの適切な対応ができるよう指導の徹底を図る」としていた。事故を受けて再発防止を徹底するため、公立校に再度「落雷事故の防止」について通知し、私立学校やスポーツ団体にも送ったという。

 4日付の通知は、落雷が発生しやすい気象条件下での的確な状況判断や避難のほか、再度落雷に関係する知見を深めておくことも求めている。

 スポーツ振興課は「再発防止に力を入れていく。これから時期を迎える中学や高校の大会の打ち合わせなどで注意喚起を徹底していく」と話している。(石川雅彦、奥正光)

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