警告を受けたホテル

 東京都内の高級ホテル15社が価格カルテルにつながる恐れのある非公開情報を交換していたとして、公正取引委員会が独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで警告した。宿泊料金が高騰し続けるホテル業界。どのような機微情報が共有され、なぜ公取委はカルテルにつながる恐れがあると判断したのか。

  • 値上げにあえぐホテル客の影でカルテル疑惑 価格決定に必要な情報は

 毎月下旬の夕方。高級ホテルの宴会場や会議室に、業界でライバル関係にあるはずの各社の担当者ら数十人が集った。課長、マネジャー、副支配人。呼び名はホテルによって異なるが、いずれも各社で宿泊料金を決める裁量を持つ担当者だ。

 公取委によると、こうした会合は「FR(フロント・リザベーション)会」と呼ばれ、経営上の情報などを交換する場として数十年前に始まったという。15社が回り持ちで幹事社を担い、開催場所や日程を連絡する。遅くとも数年前からは機微情報の共有もメールで呼びかけ、各社の担当者が一堂に会していたという。

 情報を共有する電子ファイルには、入力項目があらかじめ設定された共通の書式があった。毎月、FR会の開催直前までの月ごとの客室稼働率や客室平均単価、客室1室当たりの収益を具体的な数字で入力し、数カ月から半年先までの予約状況も交換していた。

  • 高級ホテル15社、カルテルの疑いで警告 価格情報、ファイルで共有

 インバウンド需要が高まる中、外国人の宿泊比率や稼働率にも影響する客室のリニューアル情報、学会など各業界のイベント予定と共に、団体予約の状況も共有されていた。

「キャンペーン打ちます」自由記述も

 将来の客室単価の設定方針な…

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