受験対策や解法を教える学習塾とは一線を画す「探究学舎」の共同代表を務める宝槻泰伸さんは、型破りな父から授かった、子どもたちの好奇心を育てる手法に定評があります。一方で、人の心に火を灯(とも)す大切さを母から学んだと言います。そんな宝槻さんに、母との思い出を語ってもらいました。
父が自宅に人を招くのが好きで、近所の人たちに限らず、バス停で遭遇したイスラエル人や公園でギターを弾いていた男性、小説家、オーケストラの指揮者らを突然迎え入れるんです。そのたびに料理が得意な母は慌てることなく、つまみのほか、和洋中と彩りのあるメニューをふるまっていたのを覚えています。
食にこだわりがある人でした。圧力釜で玄米を炊き、弁当は玄米にごま塩がふってあって、おかずは切り干し大根やきんぴらゴボウ、ひじき。今は感謝していますが、当時はハンバーグやポテトが入っている周りの弁当箱がちょっぴりうらやましかったですね。
父親が外交官だったことや自…