第107回全国高校野球選手権愛知大会準決勝 愛工大名電―豊橋中央 二塁打を放つ豊橋中央・砂田隆晴主将=岡崎レッドダイヤモンド

 (第107回全国高校野球選手権大会2回戦 豊橋中央―日大三)

 「今年の豊橋中央(愛知)は砂田に尽きる」。萩本将光監督は、砂田隆晴(りゅうせい)主将(3年)に絶対の信頼を置く。

 打席での勝負強さと長打力が持ち味の強打者。1年の夏から4番打者として試合に出場していた。その一方で、「挫折をあまり経験せずに来たから、周りが見えず、自分勝手に動きたがる甘さがあった」(萩本監督)。

 昨夏の愛知大会、萩本監督は打撃不振に陥った砂田主将をベンチから外し、試練を与えた。その大会は準々決勝で敗退。砂田主将はスタンドにいた。

 「本当に悔しかった。もう、負けるのは嫌だ」。あの時から、自分より勝利のため、と意識が変わった。背番号11の西川翔惺(しょうせい)選手(3年)は「新チームになってから、チームのために厳しいことも言ってくれた。一番バットを振っていたのも砂田だった」と話す。

 昨秋、4番の座を取り戻し、萩本監督からそれまで不在だった主将に指名された。「夏、ベンチから外してよかったよ」。その言葉がうれしかった。

 今夏の愛知大会では打率3割9分3厘。チームで唯一の本塁打、チーム最多タイの7打点と打線を引っ張り、春夏通じて初の甲子園にたどり着いた。

 初戦を前に、ミーティングでチームメートに伝えた。「思い切ってやろう。消極的になっていたら、甲子園は一瞬で終わってしまうから」。うなずく仲間を見渡し、自らの心にも刻むかのように、砂田主将もうなずいた。

 「4番・レフト、砂田君」。挫折からはい上がった主将は、甲子園に響くアナウンスを心待ちにしている。

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