男性の育休取得は少しずつ進んでいるが、自治体の首長が育休をとるのは大変だ。別の人が代行できない仕事が多いからだ。それでも、栃木県矢板市の森島武芳市長(38)は4月末の第2子の誕生にあわせて育休に入った。同県下野市の坂村哲也市長(45)も育休をとったことがある。どんな思いがあるのか、どんな経験になったのか。
「仕事と介護の両立へのヒントにもなる」
森島市長は約1カ月の育休に入った。特別職に育休の規定がないため、通常の休暇となる。職務代理者は置かず、代替のきかない議会や、災害などの緊急時には登庁。重要案件にはオンライン会議やチャットツール、メール、電話などで対応するという。
なぜ育休か――。森島氏は「矢板市は今や『消滅可能性都市』。若い世代に選ばれる街づくりは市の生命線だ。市内の子育て世帯の8割ほどが共働き。働きながら子育てできる環境支援が市の役割で、旗を振る自らが育休をとらないと説得力がない」と話す。
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また、「民間でも公務員でも、育休取得の難易度は職場によってまだ千差万別。仕事で忙しい夫に取得を促せない家庭もある。難易度が高いとみられている首長がとることは強いメッセージにもなる」とみる。
さらに、市職員にも良い影響…