コロナ禍で激減した自衛隊駐屯地での「体験入隊」が徐々に再開し始めている。参加企業には、対面で意思疎通する機会が少ない時代に育った新入社員の「チーム力」底上げにつなげたいとの狙いがあるようだ。
陸上幕僚監部によると、体験入隊は記録が確認できる2015年度以降、自然災害やコロナ禍に見舞われた年を除き、全国の駐屯地で年約1200~1700件実施していた。コロナ禍で同100件ほどに激減したが、近年は同400件前後と復調しつつある。航空、海上の両幕僚監部は全国の件数を把握していないが、コロナ後に再開させている基地が見受けられる。
航空自衛隊築城基地(福岡県築上町など)は19年5月が最後だった体験入隊の受け入れを昨年から再開した。日産自動車九州(同県苅田町)が新入社員研修の一環として2年連続で取り入れ、今春は男女96人が2日間、泊まり込んだ。
期間中は9~10人ずつ10班に分けられ午前6時15分、宿舎の「起床ラッパ」で一日が始まる。食事は班ごとで、最後の一人が食べ終わるのを皆で待つ。行進や整列、敬礼などの動作を繰り返し、約5キロの持続走は班でペースを合わせ、同時にゴールすることをめざす。入浴も隊員浴場で一緒。午後10時10分に「消灯ラッパ」で就寝する。
空自の新入隊員の日課とほぼ変わらない内容で、常に求められるのが集団行動。同社の要望を受けて基地側がカリキュラムを組んだ。
同社人事課の戸高政弘さんは…