核開発をめぐる武力衝突に発展したイランとイスラエルとの間で、「停戦合意」が成立した。しかし、米国が軍事介入し、その威嚇を背景にした「力による平和」に、多くの人が不安を抱いている。
日本で暮らすイラン人「力には力、何も解決しない」
東京・吉祥寺のペルシャ絨毯(じゅうたん)の輸入・販売店「カスピアン」。イラン出身の代表取締役・アリさん(56)のもとには連日、メールや電話で首都・テヘランに住む弟や友人たちから現地の情報が届いてきた。「攻撃が続いている」「爆撃機が上空を飛んでいる」
停戦が発表された後、平穏を取り戻せているのか。現地とは短いやりとりしかできず、詳しくはわからない。
イランとイスラエルの停戦が発表されていたものの、日本のイラン人仲間たちも、現地の知人たちも、みな疑心暗鬼だという。「『信頼できないからテヘランに戻らない』と言う友人もいる」
30年以上日本で暮らすアリさんは、米国が嫌いなわけではないという。だが、核開発をめぐる交渉中の武力衝突に、「だまし討ちのような形で、外交の信頼を損なう行為だ。力には力で返すことになり、何も解決しない」と不信を覚える。
アリさんはイラン・イラク戦争に従軍し、所属部隊の仲間を失った。当時の経験から「戦争は誰も救わない。対話による解決が重要」と訴える。「イラン、イスラエルが同じテーブルについて話し合うことが大切。そのために、米国や欧州、日本が尽力してくれることに期待したい」と話した。
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