参院選で「問われるもの」について、有識者らに聞きます。今回は「シニア生活文化研究所」代表理事の小谷みどりさんです。
月に2回、僧侶が運営する「坊主バー」(新宿区荒木町)を借りて「シニア食堂」を開いています。野菜中心のメニューを提供し、多いときには20人以上が集まります。初対面でも、食卓を囲みながら会話が弾みます。推し活や、自身の病気、終活のことなど、話題は尽きません。
始めたきっかけは、近所の一人暮らしの高齢者らから「米を炊かない」「野菜を食べない」といった話を聞いたことでした。食事をないがしろにするのは、セルフネグレクトの一つです。孤独がそうさせているのでは、と思いました。
30年前から見えていた高齢者の孤独と孤立
シニア食堂の調理スタッフは、私が主宰する、パートナーを亡くした「没イチ会」のメンバーが多いです。私自身、同い年の夫を42歳で亡くしました。「かわいそうだね」と言われるたびに違和感を覚えました。かわいそうなのは、突然亡くなった夫。彼の分まで私は人生を楽しもう、と決めました。
医師だった祖父の影響や、東…