月に2回、新宿区の「坊主バー」で開かれるシニア食堂。小谷みどりさん(左)が食材などを私費で購入し、没イチ会のメンバーらが調理を担当する。野菜たっぷりのメニューを心がけているという=2025年7月4日午後0時10分、東京都新宿区、石川瀬里撮影

 参院選で「問われるもの」について、有識者らに聞きます。今回は「シニア生活文化研究所」代表理事の小谷みどりさんです。

 月に2回、僧侶が運営する「坊主バー」(新宿区荒木町)を借りて「シニア食堂」を開いています。野菜中心のメニューを提供し、多いときには20人以上が集まります。初対面でも、食卓を囲みながら会話が弾みます。推し活や、自身の病気、終活のことなど、話題は尽きません。

 始めたきっかけは、近所の一人暮らしの高齢者らから「米を炊かない」「野菜を食べない」といった話を聞いたことでした。食事をないがしろにするのは、セルフネグレクトの一つです。孤独がそうさせているのでは、と思いました。

30年前から見えていた高齢者の孤独と孤立

 シニア食堂の調理スタッフは、私が主宰する、パートナーを亡くした「没イチ会」のメンバーが多いです。私自身、同い年の夫を42歳で亡くしました。「かわいそうだね」と言われるたびに違和感を覚えました。かわいそうなのは、突然亡くなった夫。彼の分まで私は人生を楽しもう、と決めました。

 医師だった祖父の影響や、東…

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