ウクライナへの派遣に備え北朝鮮軍がロシアの装備を身につけている様子が映っているとされる動画。中央の文字はXに投稿したウクライナ政府機関の名称=同機関のXから

 ウクライナ当局者は7日、朝日新聞の取材に対し、ロシアに派遣された北朝鮮兵がウクライナ軍との戦闘に初めて参加したと明らかにした。現場はウクライナ軍が越境攻撃を展開しているロシア南西部クルスク州で、4日に参加したとしている。北朝鮮兵に死者が出たかどうかは「確認できない」という。

 北朝鮮兵とウクライナ軍との衝突に関する情報は複数、流れている。米紙ニューヨーク・タイムズは5日、クルスク州でウクライナ軍と北朝鮮兵が初めて衝突し、「かなりの数の北朝鮮兵が死亡した」と米高官が語った、と報じていた。

 だが、交戦は限定的な規模だったともしており、韓国大統領府の高官も6日、北朝鮮兵が参加した本格的な戦闘はまだ始まっていないとの認識を示した。

 ただ、戦闘に参加する準備は着々と進めているようだ。ウクライナ国家安全保障防衛会議傘下「偽情報対策センター」のコワレンコ所長は5日、北朝鮮兵が「近代戦の訓練」を受けていると主張した。ロシアの軍服を着て、自爆用や偵察用などのドローン(無人機)の使い方を学んでいるという。

 韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は7日の記者会見で、北朝鮮兵が現場で現代戦の経験を積めば、韓国の安全保障にとって致命的な問題になる可能性があると指摘。北朝鮮兵の関与の程度に応じて段階別にウクライナへの支援を変えていくとし、武器支援も排除しない考えを改めて示した。(キーウ=藤原学思、ソウル=貝瀬秋彦)

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