東京電力福島第一原発事故をめぐり、全国各地に避難した人らが国と東電を訴えた「生業訴訟」の原告団長らが21日、大阪市の関西電力本社を訪れ、新原発の建設に向けた調査の撤回を求める要望書を出した。
福島県相馬市でスーパーを営む原告団長の中島孝さん(69)と、福島市の農業法人勤務で、原告団事務局長の服部崇さん(54)が、関電の広報グループのリーダーに手渡した。
要望書では「(新原発建設のための調査は)福島第一原発事故の教訓を無視している」「原発はひとたび事故を起こせば、生業も地域も喪失させる」などと訴え、調査の撤回を求めた。
中島さんらによると、対応をした関電社員に「絶対に原発事故を起こさないと言えますか?」と尋ねると、「最大限の安全対策をしている」という趣旨の回答があったという。
服部さんは取材後、「絶対に事故を起こさないと言えないならば、調査をやめるべきだ。二度と福島のような出来事を起こしてほしくない」。中島さんは「想定外の自然災害はどこでも起こりえる。原発と災害の多い社会の共存はできないというのが福島の事故の教訓だと思う」と話した。
生業訴訟は13年に提訴され、22年に最高裁が国の責任を認めない原告敗訴の判決を言い渡した。訴訟の第2陣が現在も福島地裁で争われている。