更生保護施設で働く元大阪市西区長の半野田(はんのだ)孝郎さん(73)が目指すのは、75歳で自分が定年になっても継続できる支援システムだ。
更生保護施設や就労作業所、障害者グループホーム、精神科クリニックなどをつなぎ、情報共有を円滑に進める「ハブ役」を半野田さんは担っている。「限られた人たちの頑張りに頼るだけでなく、地域で関係機関が連携して支える仕組みがないと、支援が安定しないし再犯の防止は望めない」
区長を退任した後、ライフワークに選んだ更生保護。背中を押したのは、刑務所内にいかに障害者が多いのかを生々しく書いたノンフィクション本「獄窓記」「累犯障害者」だった。
議員時代に実刑判決 出所後に著書出版
筆者は山本譲司さん(61)。衆院議員だった2001年、国が支払う秘書の給与を事務所の運営費に回していたとして、詐欺罪などで懲役1年6カ月の実刑判決を受け、受刑者となった。
受刑中、障害や病のある受刑者たちの世話をする「指導補助」を担当した。認知症や知的障害、薬物使用の後遺症などの影響で、1人では日常生活が送れない人々の着替えや食事、排泄(はいせつ)を助けた。
出所後、障害者福祉の現場に関わりながら著書を出版し、刑務所の中の「福祉施設化」が進む状況に警鐘を鳴らしてきた。
そんな中、自らの活動に改めて向き合うきっかけがあった。7年ほど前のことだ。訪れたある刑務所で、1人の男性受刑者の姿に目を奪われた。自らが服役した栃木県内の初犯刑務所で一緒だった人物だった。
知的障害のあるその男性が入…