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トランプ前大統領の「口止め料」を巡る事件の公判に向けた審理のあった3月25日、米ニューヨークのトランプタワーの前で旗を掲げるトランプ氏の支持者ら=ロイター
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 かつて大統領であり、再び大統領になり得る人物が、米国史上初めて刑事被告人として裁かれる。15日からの公判で検察が立証を試みるのは、2016年の大統領選に勝つためなら、都合の悪い情報を不法に隠蔽(いんぺい)することもいとわなかったトランプ前大統領の姿勢だ。20年の大統領選で敗北を認めないまま、24年の大統領選に挑むトランプ氏のありようを改めて問う機会でもある。

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 検察は事件の構図をこう描く。

 民主党のクリントン氏との接戦が見込まれた16年の大統領選を前に、スキャンダル暴露の動きを察知したトランプ氏はタブロイド紙「ナショナル・エンクワイアラー」の親会社会長らと示し合わせ、「口止め料」を払って握りつぶそうとした。

 情報を記事化すると装って権利を購入(キャッチ)しておきながら、掲載しない(キル)――。「キャッチ・アンド・キル」と呼ばれる手法だ。トランプ氏は投票日までの1年間で、少なくとも3人に口止め料を払ったと検察は主張する。

 起訴されたのはこのうち1件だ。トランプ氏は口止め料の支払いについて、会計帳簿や請求書に「弁護士費用」と偽って記載したとして、虚偽記載の罪に問われている。

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