欧州連合(EU)の立法機関である欧州議会の選挙が6月初めに行われた。中道右派をはじめ「親EU」の3会派が過半数を保ち、当面はEUの経済や外交・安全保障政策の方向性は維持されそうだ。ただ、EUの現状に懐疑的な「右翼ポピュリズム」の会派も大きく議席を伸ばし、独仏主導の欧州統合に警鐘を鳴らす結果となった。
朝カルっ! 流し見ニュース講座 「世界の選挙と民主主義」
動画の流し見で、ニュースへの疑問が「スッキリ」する企画。6月に行われた欧州議会選挙は、そもそもどんな仕組みで、選挙結果は欧州各国や世界にどんな影響を及ぼすのか。元国際報道部長の稲田信司広島総局長が徹底解説します。朝日カルチャーセンターの講座で解説した動画を約27分にまとめ、記事後半で掲載しています。
欧州統合を推進するフランスやドイツをはじめ多くの加盟国を安堵(あんど)させたのは、中道右派の「欧州人民党(EPP)」が全議席の4分の1を獲得したことだった。中道寄りの会派で唯一、勢力を伸ばした。今秋に改選をひかえるEUの執行機関・欧州委員会のフォンデアライエン委員長を支える会派でもあり、同氏再選への動きが加速しそうだ。
一方、中道会派の「欧州刷新(RE)」が約40議席減らす大敗を喫したのは、独仏主導の欧州統合への警鐘といえる。フランスのマクロン大統領の後ろ盾である会派だけに、衝撃は大きい。
敗北が明らかになった6月9…