佐賀県白石町に植樹された嘉代子桜の「2世」=2025年4月5日午前9時32分、佐賀県白石町、岡田将平撮影

 その日の朝に限って、林嘉代子さんは仕事に行きたがらなかったという。だが、母に送り出されて家を出発し、そのまま帰らぬ人となった。15歳、1945年8月9日の長崎でのことだ。被爆80年がたとうとするいま、桜が好きだった亡き娘をしのんで母が贈った桜の「2世」が、全国各地で春を迎えている。

 佐賀県白石町の公民館前に1本の桜の若木が植えられている。細い木の先に花が開く。

 桜は、長崎から来た「嘉代子桜」の2世で5日、お披露目式があった。県原爆被害者団体協議会副会長で、2歳の時に長崎で被爆した同町の片渕勝広さん(81)が「植樹をきっかけに、被爆体験が若い世代に語り継がれ、広がっていくことを期待する」とあいさつした。

帰らぬ娘、捜し続けた母

 同じく副会長の前田一美さん…

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