交通インフラの整備など国家的プロジェクトに待ったをかける知事に注目が集まることが多くなっています。プロジェクトを止める知事に求められることは何か。地方自治論が専門で大正大地域構想研究所所長の片山善博さんに聞きました。
- 【関連記事】リニアや原発、知事の「待った」は越権か 行政学者が説く健全な政治
西九州新幹線は、佐賀県内の整備に佐賀県知事が合意せず、建設が止まっていますね。私が知事でも合意していないと思います。
知事が県民や地域の利害で判断するのは地方自治の基礎です。佐賀から見ると、新幹線整備の負担金の計算方法は非常に理不尽です。巨額の建設費を負担して、新幹線は来るけれど、並行在来線の本数が減る。メリットがありません。全線開通で大きなメリットがあるのは長崎だけでなく、福岡もそうでしょう。人が集まるんですから。福岡県政も経済界も人ごとのようですが、「うちもお金を出すから」と言うのが筋だと思います。
一般論として、知事には「その発言は県政を代表していますか」という視点が必要。すべて一致しなくても、県議会でどれだけ議論したのか。知事が浮いたら、その力は発揮できないし、単なる「お騒がせ知事」になってしまう。
国の切り崩し、事なかれ主義の誘惑 振り切るために
知事が国家的事業に反対する…