第69回鹿児島県吹奏楽コンクール(県吹奏楽連盟、朝日新聞社主催)は26日、中学生B部門の演奏があった。朝日と米ノ津が県代表に決まり、8月11日に鹿児島市である南九州小編成吹奏楽コンテストへの出場権を得た。
中学生Bは出演者20人以下の小編成向け部門で、各団体とも自由曲1曲を演奏した。県代表以外では、龍南、吹上、日吉学園、岳南、東市来、屋久島中央、串木野が金賞を受賞した。(加治隼人)
吹奏楽では伴奏に回り、縁の下の力持ちとなることが多いテューバですが、天城中学校の自由曲では、印象的なメロディーやソロが多くありました。その大役を果たした部員の思いに迫ります。
「がんばらなくてもいいや」から一転、練習通して気づいた役割
テューバの奏でる柔らかな低音が静かにメロディーを紡いでいく――。鹿児島県天城町立天城中(徳之島)の米村真優(まひろ)さん(3年)は、ふだんはめったに回ってこない「テューバの見せ場」を果たそうと懸命だった。
低音金管楽器の代表格のテューバ。吹奏楽では、メロディーラインを支える伴奏に徹する場面がほとんどだ。
トランペットやフルートといった花形が主旋律を奏でる裏で、ベースラインを支え、単調なリズムを刻む。いわば裏方に回る。
だが、部員が12人しかいない天城は、楽器の掛け持ちや変則的なパートの割り振りが多かった。披露した自由曲「ある女の生涯~能『巴(ともえ)』の物語によるファンタジー」は、本来なら中音域のユーフォニアムが吹く主旋律の多くを、テューバの米村さんが担った。
米村さんは昨夏のコンクールで、トランペットの松村華さん(3年)とともに、審査員が選ぶ特別賞を受けた実績がある。
その腕前を見込み、顧問の尭さゆり先生はメロディーやソロを積極的に任せることに。慣れない16分連符や高音に苦戦しながらも、「期待された役割をきちんと果たしたい」と挑んだ本番だった。
米村さんは小学4年生からテューバを吹いてきた。当時たまたま奏者がいなかったからで、希望したわけではない。
重さは10キロ近くもあり、大きいだけに肺活量も求められる。「自分にできるか不安だった」
しかも、譜面を見ると、4分音符や8分音符を延々と単調に刻むばかり。なのに、少しタイミングがずれただけで先生にはすぐ怒られる。
「正直、全然楽しくない。目…