4月からフォトグラファーとして金沢市に駐在している。奥能登に向かうたび、自然と人間とでつくりあげてきた里山の美しさに感嘆する。

夕方、複雑な色に染まる輪島港の上空=2024年6月21日午後7時2分、石川県輪島市、金居達朗撮影

 複雑に並んだ棚田の水面が日光を反射してきらめき、空の青さに溶けるように澄んだ海には漁船がひしめく。朝の冷え込みが増してくる秋には、海に流れ込む川から霧が現れる。頭上を見上げると、山上は少しずつ赤みを帯びてきたようだ。

 美しい里山の風景は、元日の地震と9月に発生した豪雨で大きく姿を変えた。山は崩れ、津波や地盤の隆起で漁港も大きく壊れてしまった。

 石川県能登町の国重地区にあるホタルの観測スポットがどうなったか、6月、取材で訪ねた。

里山を壊すのは、土砂崩れよりも…

 ブランド米「能登棚田米」の産地でもある山あいの地区。区長の吉田義法さん(53)によると、建物の被害や人的被害は少なかったものの、ホタルがすむ川の一部が土砂崩れで埋まり、水があふれたという。

国重地区で乱舞したホタル=2024年6月19日夜、石川県能登町、金居達朗撮影

 ただ、里山の風景を壊すのは…

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