大麻の奈良蓮斗投手=2025年7月11日、札幌円山、朽木誠一郎撮影

(11日、第107回全国高校野球選手権南北海道大会1回戦 駒大苫小牧6―0大麻)

 地区大会をノーシードから勝ち上がり、代表決定戦では九回4点差をひっくり返す逆転劇を演じた大麻。「大麻旋風」とも呼べる快進撃の立役者は、エースの奈良蓮斗投手(3年)だ。投げては地区3試合で277球。打っては打率5割超え。21年ぶりの南大会出場を決めるサヨナラ打も放った。

 この夏までチームはどん底だった。昨秋と春の公式戦はいずれも初戦敗退。負けが当たり前で、プレーにミスがあっても、仕方ないという雰囲気だった。

 奈良投手らが中心となりミーティングを重ねた。まず、自分たちはどのチームよりも弱いと自覚することから始まった。そして、目標をあらためて「甲子園」と確認した。

 チームの意識が変わった。練習でやってきたことしか試合では出せないぞと奮起。互いに気になったことは指摘した。時に厳しい言葉になり、言い合いになったこともある。甲子園をめざすのだからと納得できた。

 迎えた夏。チームは接戦を制すたびに強くなり、声援は日増しに大きくなった。

 全校応援の大声援を背に、奈良投手はこの日も先発。連投の疲れもあり6回まで5失点を喫した。一度はマウンドを降りたが九回、「どんな状況でも勝ちにいくには、自分が投げるしかない」と、再登板。最終回をゼロに抑えた。

 奈良投手は「応援してもらってうれしかった」と感謝を述べ、笑顔で「投げきれた。悔いはない」ときっぱり。「大麻旋風」は晴れやかに幕を閉じた。

 ◎…駒大苫小牧は17残塁と打線に粗さがあったが左腕寺田が8回途中まで15奪三振と締めた。大麻は早打ちを避けて粘ったが打ち崩すには至らなかった。

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