遺伝性のがんの一つで、乳がんや卵巣がんになりやすい「遺伝性乳がん卵巣がん」(HBOC)について、正しい理解を深めてもらおうと、当事者が思いをしたためた手紙を紹介する「遺伝性がん当事者からの手紙 写真パネル展」が開かれている。
HBOCは、DNAを修復する機能のある遺伝子に変異があり、がんの発症リスクが高い。2分の1の確率で子に遺伝するという。
「娘たちにも受け継がせているかもしれない…」。次から次に不安が押し寄せてきた――。
31歳の時に乳がんが見つかった女性は、その後の検査でHBOCと分かった。2人いる娘は当時、3歳と5歳。展示されている女性の手紙には、当事者の「がんになりやすい体質」を子に引き継がせるかもしれないことへの赤裸々な思いが記されている。
パネル展では、HBOCの当事者約20人が書いた家族や過去、未来の自分などに宛てた手紙を展示しているほか、HBOCの仕組みについての説明や相談窓口などについても紹介している。
パネル展は、HBOCの当事者でつくるNPO法人クラヴィスアルクスや、日本遺伝カウンセリング学会などの協力で開催する巡回展。27日まで開かれる岐阜県美濃加茂市の中部国際医療センターを皮切りに、来年3月まで岐阜県のほか三重、愛知、静岡各県の計11病院で開催される。
「結婚相手が…」「職場に…」寄せられる悩み
中部国際医療センターの日比野ゆかりさんは、遺伝医療を必要とする患者や家族を支援する専門職「認定遺伝カウンセラー」の資格を持つ。
「HBOCについての理解は…