滋賀県草津市の玉川中学。摂南大(大阪府寝屋川市)4年生の小嶋大地さんが防災の授業をしていた。大地震で何が起こる? どう避難する? 困ることは、対策は――。グループ討議をまぜ、生徒に考えてもらった。

 授業の締めくくりに、小嶋さんは能登半島地震の被災地でボランティアをした話をした。

 「能登から家に戻り、『お帰り』と言われた時に幸せだと感じた。こんなこと人前で言うのは初めてですが、伝えたいと思いました」

 災害は日常生活を一瞬にして壊してしまう。崩れたままの家や道路、復旧が進まない町を見た。被災した家から持ち出した伝統工芸品を洗って整理する作業の合間、被災者に言われた。「学生が楽しそうにしている姿を見てうれしくなった」

能登半島地震の被災地でボランティアをする学生=摂南大提供

 当たり前だと思っている暮らしがいかに大切なものかがわかったという小嶋さん。備えの重要さを真剣に訴えた。

 防災教育のテーマで卒業論文を書く小嶋さんは、池内淳子教授(53)の研究室の学生だ。授業を見守っていた池内さんは、補足説明をした。

 池内研究室は、避難所の運営訓練、寝屋川市と共同の総合医療防災訓練などを積み重ねてきた。学生は計画作りから研修の進行役まで、防災に関するテーマを実践的に学ぶ。

 寝屋川市社会福祉協議会と共同で、障害者とその家族らを対象に、「マイ防災プラン」を作り、災害時の避難をテーマに研修をしたこともある。目が見えない人、耳が聞こえない人、それぞれにあわせた対応を参加者とともに考えた。

 「一生懸命やっても自分だけの満足で終わるのはだめ。相手の心に届き少しでも残って、いざという時に役立ててもらえそうだという反応を感じるところまでいかないと。防災は命にかかわることなので。学外に出る前に予行演習を繰り返します」

寝屋川市社会福祉協議会とともに、障害がある人の防災プランを作成する研修=摂南大提供

 池内さんの指導は、厳しい。

 相手に届いたという手応えを…

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