最後のあいさつをする小林由美子さん(右)。最後は涙声になり、周りを取り囲む常連客らも嗚咽した=兵庫県尼崎市立花町2丁目
  • 写真・図版

 「伝説の本屋」として知られ、映画や小説にもなった兵庫県尼崎市の小林書店が5月31日、最後の営業を終えた。正午過ぎから「お礼の会」を開催。集まった人たちに日本酒を振る舞い、惜しまれつつ72年の歴史に幕を下ろした。

 午後0時半前。紅白の幕を張った店内は、数十人の常連客で埋まった。

 すでに涙ぐんでいた店主の小林由美子さん(75)は、夫の昌弘さん(79)とともに立ち上がると「よいしょ、よいしょ、よいしょ」の掛け声にあわせて鏡割りをした。そして「本当にありがとうございました」と深く頭を下げた。

 常連たちからねぎらいの言葉を掛けられた由美子さんは、今後について「何かやります」と発言。どよめきが起きた。

 その後もファンの姿が途切れることはなく、閉店時間が迫るにつれて増えていく。なかには東京から駆けつけた人もいた。

言葉つまらせ「感謝しかない」

 午後5時。入り口に姿を現し…

共有
Exit mobile version