ウクライナ東部のセリドヴォでミサイル攻撃で破壊された病院の前に立つ玉本英子さん=2024年2月、本人提供

 ロシア軍の侵攻が続くウクライナ。地下にある学校で男の子が言った。「ミサイルのない平和な空が欲しい。静かで穏やかな空。ただそれだけ」。アジアプレス所属の映像ジャーナリストで被爆2世の玉本英子さん(57)=大阪府=は、戦火を生きるウクライナの女性や子どもたちを取材してきた。この8月、現地の姿を伝える写真展を広島市で開く。

 玉本さんは父が広島で被爆した。父から被爆体験や平和への切実な思いを聞いたことが下地になり、イラクやシリア、アフガニスタンなど戦争の続く地で生きる人々の取材を長年重ねてきた。

 今年2~5月の約3カ月、ウクライナで取材した。2022年夏と23年春に続く3回目。

 東部ドネツク州セリドヴォでは、病院へのミサイル攻撃で妊婦だった娘が死んだ女性に会った。怒りや憎しみをあらわにするのではなく、「もう戦争なんかやめて欲しい。平和になって欲しい」と淡々と口にした言葉が心に残った。

 中部のチェルカスィでは、前…

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