明豊の野球部員91人のうち、3年生は30人。ベンチ入り選手20人に入れなかった3年生部員17人は、全力で選手らのサポートをこなした。
昨秋、新チーム発足時から「弱い」と言われてきた世代。岡田晴樹主将が「それを覆すためにここまでやってきた」と話す姿には、意地とともにチームを引っ張る覚悟と誇りがにじみ出ていた。
練習や試合を通じて競い合いは続き、甲子園では1年生3人がベンチ入り。大分大会では試合にも出た山田教富さん(3年)は背番号を逃し、「悔しくてしょうがなかった」。しかし、岡田主将から「おまえのお陰でここまでこられた」と声を掛けられ気持ちが楽になったという。それからは以前とは違う立ち位置で全力を尽くそうと、サポートに徹した。
川崎絢平監督は「彼らのお陰で甲子園に来ても選手が成長できている」。簡単に凡打できない、簡単に負けられないという思いと責任感が高まり、「目に見えないところで精神的にも強くなっている」という。
大分大会では、ベンチ入り選手20人全員が試合に出場し、それぞれの役割を果たして5連覇へとつなげた。それを支え続けたのは、紛れもなくベンチには入れなかった彼らだった。
川崎監督は「主役にならなくても、自分の与えられたところで活躍しようという心は、今後も必要になる。卒業後もきっと活躍してくれる」と期待を込めて話した。