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子どもの暴力 7万件が問うもの

 文部科学省の調査で、2023年度に小学校で発生した暴力行為の件数が7万件を超えた。10年前と比べて約6倍に増加した背景を、関西外国語大学の新井肇教授(生徒指導論)に聞いた。

子どもの暴力 7万件が問うもの

  文部科学省が昨年、発表した「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸問題に関する調査」で、全国の小学校で確認された暴力行為が7万件に上ることが分かりました。増加する小学生の暴力行為を伝える記事には、さまざまな意見が寄せられました。専門家に背景を聞きました。

 ――小学生の暴力行為が増加しています。

 要因はいくつか考えられます。

 一つはデータの取り方。いじめ防止対策推進法が成立した2013年ごろから、小学生の暴力行為が増えている。

 法律におけるいじめの定義は、「児童らに対して、一定の関係にある他の児童らが行う心理的、物理的な影響を与える行為で、行為の対象となった児童らが苦痛を感じているもの」。加害行為の質や量、意図は問いません。これまで暴力行為と見ていなかった小学校低学年でのちょっとしたいざこざなどが、いじめと認知され、暴力行為に数えられるようになった側面もあるのではないか。

 もう一つは、同じ児童が繰り返している可能性がある。発生件数は7万件で、加害児童数は5万1720人。中高と比べると、小学校は発生件数と加害児童数の差が大きく、同じ子が繰り返す場合が多いと言えます。

衝動の折り合いの付け方、身につけられず

 ――なぜですか。

 衝動のコントロールが苦手な子が増えている可能性があります。ある調査によると、幼児の遊び相手は「母親」の割合が高く、きょうだいや友だちの割合が低かった。少子化できょうだいや地域にいる子どもが減り、子ども同士で遊ぶ姿が少なくなった。

 ――どんな影響があると考えますか。

 母親は子どもの意向をくみ取…

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