うだるような暑さが続く8月下旬。ようやく冷房がききはじめたプレハブ小屋で、小学5年生の女子児童が夏休みの宿題に取り組んでいた。
「えらいねぇ」「しっかりしとるわ」
児童の背中に声をかける大人たちのなかには、認定NPO法人「抱樸(ほうぼく)」の支援によって路上生活から抜け出した人もまじる。
抱樸が「希望のまちプロジェクト」を進める北九州市小倉北区の空き地に建つプレハブは「SUBACO(スバコ)」と名付けられ、地域の交流拠点として、マルシェなどのイベントが定期的に開かれている。
地域住民の「よりどころ」に
この日は、小学生らが宿題をできるようスバコを開放。抱樸スタッフや地域の住民らも集まり、宿題のあとはみんなでゲームで盛り上がった。
参加した近くの40代の会社員男性は、認知症だった母と散歩をするなかで、スバコが目にとまり、立ち寄るようになった。ここには2019年まで暴力団工藤会の本部事務所があり、「以前は、この場所の前で立ち止まるなんてありえなかった」。
今春に母が亡くなってからも、仕事帰りなどに時々スバコに顔を出し、抱樸スタッフらとお茶を飲んだり話をしたりする。「たわいもない話をできるこの場所がよりどころ」といい、「希望のまち」の実現にも期待する。
国谷 まちづくりですから、地域全体の変革も必要です。
奥田 進む単身化への対応では、互助会の仕組みが有効です。見守りをして、最後は葬式もして家財も処分する。私たちがそうしたら、単身高齢者への部屋の貸し渋りはなくなりました。この仕組みが全国に広がれば、家族がいない人も安心して住める社会になると思います。
もうひとつキーワードとして…