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山口晃さんの「ファ士クラ渡海遣欧奇」=2024年10月18日午前11時22分、宮城県石巻市渡波の宮城県慶長使節船ミュージアム、柳沼広幸撮影
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 仙台藩主の伊達政宗が約400年前、家臣の支倉常長(はせくらつねなが)らを欧州に送った外交使節団「慶長遣欧使節」の偉業を伝える宮城県の慶長使節船ミュージアム(サン・ファン館)=石巻市渡波=が26日、リニューアル開館する。2年の休館中に2代目復元船の建造、展示替えをした。

 洋式帆船サン・ファン・バウティスタ号の2代目復元船は全長14・2メートル、高さ12・3メートル。繊維強化プラスチック製で太平洋を望む屋外に展示する。

 初代復元船は原寸大の全長55メートル、高さ48メートルの木造だった。老朽化や2011年3月の東日本大震災の津波被害もあり、解体された。

 新たな展示では、東京パラリンピックの公式ポスターも描いた現代美術家、山口晃さんの作品が登場する。大和絵と西洋絵画の手法を合わせて鳥の目で描く作風で、支倉や司令官セバスチャン・ビスカイノ、スペイン国王、ローマ教皇などの人物を描き、使節の意義や旅の様子が一目で分かる。

 作品名は「ファ士(し)クラ渡海遣欧奇(とかいけんおうき)」とユニークだ。「館外に広がる大海へも思いを馳(は)せる結節点になれば」と山口さん。

 映像も駆使した。旅のハイライト、ローマ教皇との謁見(えっけん)は、人物のレリーフに色鮮やかな映像を映し、華やかさが伝わる。支倉が青と白の格子模様の衣服で謁見したことも分かる。

 17世紀の世界地図「坤輿(こんよ)万国全図」も巨大な地球儀に映し出す。サン・ファン号が1613年に牡鹿半島の月浦を出帆し、太平洋を横断してメキシコに着き、欧州に渡った航海の様子を伝えている。

 平川新(あらた)・館長は「なぜ政宗は使節を派遣できたのか。歴史的意義を伝えている。歴史教育にも役立ててほしい」。現代人に対しては「冒険心は大事。海外に目を向けてほしい」と話す。(柳沼広幸)

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