経済協力開発機構(OECD)が10日、成人の社会生活スキルをはかる「国際成人力調査」(PIAAC(ピアック))の結果を公表した。

 日本は全3分野で1~2位だった。3分野中2分野で1位だった前回に引き続き、世界トップ水準を維持した。

 PIAACは2011~12年に初めて行われ、今回が2回目。22~23年に31カ国・地域の約16万人が参加し、日本は無作為抽出された5165人が、タブレット端末で解答した。

 3分野は、①読解力②数的思考力③状況の変化に応じた問題解決能力。

 実際に出された問題は非公表。

どんなイメージの問題が出た?

 OECDが示した問題のイメージは、①は「パンとクラッカーが古くなった時の変化などに関する記事を読み、解答欄の文章の正誤を解答」、②は「零下15~同20度の冷凍室について、示された温度が許容範囲内かどうかを解答」、③は「午前8時半までに子どもを学校に送り、買い物を済ませて9時半までに帰宅する最速ルートを地図上で解答」など。

OECDが提供した「読解力」のサンプル問題。実際に出された問題とは異なる
OECDが提供した「数的思考力」のサンプル問題。実際に出された問題とは異なる
OECDが提供した「状況の変化に応じた問題解決能力」のサンプル問題。実際に出された問題とは異なる

 「状況の変化に応じた問題解決能力」は今回が初めて。基礎的な問題から高難易度のものまで幅広く出題されたという。

 日本の分野別の平均得点(500点満点)は、「読解力」が289点(OECD平均260点)で2位、「数的思考力」が291点(同263点)で2位、「問題解決能力」は276点(同251点)でフィンランドと並んで1位だった。フィンランドは全3分野で1位だった。

 フィンランドは前回、3分野いずれも2位。両国の順位が逆転した理由について、文部科学省の担当者は「フィンランドで高得点をとった人の割合が増えた」と説明。同国では修士や博士課程に進む人が多い点を背景の一つに挙げた。

日本の課題は?

 OECDの分析では、参加国・地域の大半で10年前より「読解力」が横ばいか低下していた。

 日本も約10人に1人が基礎的読解力が足りていないと指摘。また日本を含む多くの国で、10年前より、親の学歴に比例して読解力の差が広がっているとした。

 OECDのアンドレアス・シュライヒャー教育・スキル局長は、日本について「高学歴の労働者でも『職場で必要とされる具体的なスキルが足りない』と考える人が多い」と指摘。リスキリング(学び直し)の必要性を主張した。

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